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一きは色を増て、明ても暮ても夫婦の中にをきて、世のまつしく悲しき態も、是にて, 有共覺侍らさりしかとも、我に心をなくさめて社過す事にてあれ、世中の有にもあら, 如何成とも覺侍ねは、早我に暇をゆるし給へ、水の底にも入歟、又物をも乞ても遠き, 前に心をすまして、母の孝養する程の果報與へ給へと祈侍る事を、三世の佛達の哀と, 母に云樣、たえ〳〵しき有さまに、我を孚みいとなみ給も悲侍り、又かくても行末可, 蓬壺の雲を踏、竹薗に望て令書のうけ給を事とせし人にていまそかりけるか、みくる, 方に罷なんとかきくときしに、母いとゝ悲覺て、故殿にをくれて、一日片時も生て可, すまつしきわさは、實に心苦しく侍れ共、されはとて又命を無物に非可成なんと、懇, 初て一の男子をまうけてけり、みめことからのわりなさに、父母のいとおしむ事、今, たえ〳〵しさに、いける心地もせて、朝夕はねをのみなきて侍けり、此子十一と云年、, に〓もせきあへす聞え侍れは、此子も諸共に〓をなかし侍りけり、扨此子常に佛の御, ことはりにも過てみえ侍けれは、日數の積まゝに思も聊はるけ侍めるに、世中いとゝ, しくまつしく侍て、忠勤かれ〳〵に成て、里陰に侍ける也、然あるに年半たけて後、, 慰侍けるに、はからさるに、夫世心ちに煩て身まかりにけり、女も同道にと悲侍る、, みそなはし給けるにや、十三に成ける年、貞信公に被召て、御いとおしみ無分方侍り, 召仕ハル, 幼時父ヲ喪, 藤原忠平ニ, 家貧ナリ, 天延二年三月是月, 三九二
頭注
- 召仕ハル
- 幼時父ヲ喪
- 藤原忠平ニ
- 家貧ナリ
柱
- 天延二年三月是月
ノンブル
- 三九二
注記 (21)
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