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老公の如く、御一身の事には止るへからす、天下を經綸すへき定見なくて、いかてか尸位, や、過激之事にて申も恐れあれと、癸丑以前、夷人のいまた來らさる程に御下世ならんに, を退出せり、同三日の夜、又圓四郎を召て仰有けるは、此比の一條如何に考へても見詰な, に、只今となりては、老公の眼前に夷人の登營を初條約の始末等、老公之御論は一ツと, へん事はさし見えたる事にて、其際となりて我等か耻辱は神州の耻辱となるへき事にて、, を見申さすや、廿餘年來打拂之御持論にて、夷狄に日本の地は蹈せましとの御素志なりし, して行はれねとも、安閑として御傍觀の外はあらせられぬは、如何に老公の御耻辱ならす, 候、御前にはさ思召すや、御一身の御勞を被爲厭、天下を御放下被遊候ては、人主の御本意, は、御盛名不朽に傳へ申へきものを、御長生は可歡事の限りにはあれと、此方にして申さ, る己を忍んて、劣れる不肖に讓るは、虚譽を求むるは奸雄の行ひにて、魏の曹操か比にて, を偸むへきと仰あれは、圓四郎、さまて強辨なさせ給ふ上は、申上へき辭は候はねと、勝れ, 上事共なり、我等萬一西城へ入らは、老公と等しく生前に耻辱をさらし、末代に汚名を傳, は愁に御生き延ひ被遊、如此御耻辱に逢はせられ候事、於我等も血〓の至りにて殘念無此, とも不奉存と申上れは、事果しなけれはにや、猶御考あるへきとの御事にて、此夜は御前, はれねとも、如何にせん才徳其器に非されは、徒らに耻辱を増進するまてなり、近く老公, 行爲, ルハ奸雄ノノ, 虚譽ヲ求ム, 安政五年三月八日, 一四七
頭注
- 行爲
- ルハ奸雄ノノ
- 虚譽ヲ求ム
柱
- 安政五年三月八日
ノンブル
- 一四七
注記 (20)
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